頭痛外来について

日本人の約1/3は頭痛持ちだといわれています.

頭痛は多くの方が経験していますが,日常生活に支障をきたすつらい症状になることもあります.

その痛みを周囲に理解してもらえず,悩んでいる人は少なくありません.

外来では,頭痛発生時期,痛みの持続期間,頻度,痛み方など詳しい問診を行い、必要に応じてCT検査を実施し,その頭痛の診断を行います.

1)頭痛で医療機関を受診する目的

 ①正確な頭痛診断

  第一に,生命に危険が及ぶ可能性がある頭痛を除外

  命にかかわることのない頭痛=緊張型頭痛,片頭痛,群発頭痛,薬物乱用頭痛,その他の頭痛など

  それぞれ治療法が異なります

 ②適切な治療

   不適切な頭痛薬の服用を継続することにより,頭痛が悪化することもあります

   不必要に鎮痛剤を我慢し,辛い生活を続けている方もいます

   頭痛の原因や状態にあった治療が必要.頭痛の治療は薬の内服だけではありません

  ◎辛い頭痛の解消により快適な日常生活を取り戻しましょう

適切な治療を継続することが重要です

2)主な頭痛薬

NSAIDs Non-Steroidal Anti-Inflammatory Drug(s)(非ステロイド性抗炎症薬)

多くの鎮痛解熱剤が市販されている.バファリン,イブ,ロキソニン,ブルフェン,ボルタレン,カロナール,セレコックスなどがあります.

カロナールは厳密にはNSAIDsではなく,副作用が少なく,比較的安全です.

トリプタン(先発品名=イミグラン,マクサルト,レルパックス,ゾーミック,アマージ)

   片頭痛の特効薬で,片頭痛以外には効きません.

   セロトニンを増加させ,片頭痛の原因である血管拡張を抑制することにより,片頭痛発作が改善します.

   トリプタン系製剤は,3割負担で先発品1200円弱,後発品160円程度です.原則として,片頭痛が発症してから早期に服用することを勧めています.

   副作用はあまり多くありませんが,めまい,ふらつき,脱力,胸苦しさなどがあります.各種トリプタンの使い分けも必要です.

 片頭痛予防薬

   月に2-3回以上片頭痛がある場合は予防薬を検討します.月5-6回を超える場合には片頭痛予防薬を開始します.

   ミグシス・テラナス,インデラルなどの降圧薬(血管拡張薬)やデパケン・イーケプラ・トピナなどの抗てんかん薬が一般的です.

   当院では呉茱萸湯や五苓散,加味逍遥散などの漢方薬を証に合わせて積極的に用いています.

3)頭痛外来の第1歩=二次性頭痛の鑑別

二次性頭痛とは脳や体に病気があって起こる頭痛で,くも膜下出血や脳腫瘍,髄膜炎など脳の病気による頭痛です.

下記のような二次性頭痛を疑う症状がある時には,画像を含め積極的な検査が必要です.

①突然の頭痛  今まで経験したことがない頭痛  ③いつもと様子の異なる頭痛 

④頻度と程度が増していく頭痛   50歳以降に初発の頭痛  神経脱落症状を有する頭痛 

⑦癌や免疫不全の病態を有する患者の頭痛  ⑧精神症状を有する患者の頭痛 

⑨発熱・項部硬直・髄膜刺激症状を有する頭痛

4)一次性頭痛の鑑別

頭痛が持病の「頭痛もちの頭痛」です.脳や体に病気がないのに、繰り返し起こる頭痛で,慢性頭痛,習慣性頭痛ともいわれます.

片頭痛と緊張型頭痛と群発頭痛が主な一次性頭痛です.

一人で複数の一次性頭痛を経験する方も少なくありません.片頭痛と緊張型頭痛と群発頭痛の3つを持っている方もいます.

それぞれの頭痛をしっかりと区別して,適切な治療を行うことが必要です.

緊張型頭痛について

頭痛とめまい

頭痛の原因の7~8割を占め,中高年に多い頭痛で,頻度は月に数回程度から毎日とさまざまです.

いつとはなしに始まり,だらだらと持続するのが特徴で,発作的に起こる片頭痛とは異なります.

後頭部から首筋にかけて両側性に痛むことが多く,頭全体やはちまき様に痛むこともあります.肩コリや顎関節症を伴うことが多く,圧迫感,緊迫感,頭重感が特徴です.体のだるさやふわふわしためまいを伴うこともあります.

緊張型頭痛の原因は,心身へのストレスにより,頸部や頭蓋骨周辺の筋肉にある血管が収縮することです.筋肉は同じ姿勢を保っていると緊張が続いて血流が低下し,酸素不足や疲労物質の蓄積により血管が収縮して神経が刺激され,痛みが生じます.

重い頭を支えている頭頚部・肩・背中の筋肉は疲労が蓄積しやすい場所です.スマートフォンやパソコンを長時間利用すると特に頭頚部・肩・背中の筋肉に大きな負担がかかります.精神的なストレスは自律神経に影響して緊張型頭痛を慢性化させやすいことも知られています.

ストレッチやトレーニングなどの運動療法,入浴,心と体の緊張を緩和するリラクゼーションを中心とした治療を行います.

外来では一緒に肩こり体操を行っています.

入浴はぬるめのお湯に長く浸かり,血行を改善させて痛みを緩和するよう指導します.

このような治療が無効な場合には筋弛緩薬やNSAIDs,漢方薬などの薬物療法を行います.

片頭痛について

頭痛とめまい

女性に多い頭痛で,たいてい月に1~2回程度,発作的に頭痛が起こり,72時間以内に治まります.

思春期頃から出現することが多く,60歳頃に終わります.通常,最盛期は30歳代です.

片側のこめかみから眼のあたりに起こることが多く,4割の方が両側性です.

 脈打つように「ズキンズキン」あるいは「ガンガン」と痛みます.

しばしば吐き気や嘔吐を伴い,片頭痛の最中は光や音,臭いに過敏となるので,片頭痛の間は暗くて静かな環境を好みます.  

「日常生活が続けられない」ほど頭痛が強く,寝込むこともあります.階段昇降など日常的な動作により頭痛が増悪し,マッサージや入浴、体操で悪化します.

片頭痛の約2割は前兆を伴います.多くは「閃輝暗点」で,視界にチカチカした光が現れ,これが拡大していくにつれて,元のところは見えにくくなります.通常20~30分続き,前兆が終わると激しい頭痛が出現します. 

漠然とした頭痛の予感や,眠気,気分の変調などは前兆と区別して予兆といいます.

通常の鎮痛剤は無効なことが多く,トリプタン系の薬剤が有効です.  

月2回以上片頭痛があるときには予防薬を検討します.

内服予防薬や非薬物療法を十分に行い,片頭痛急性期にはトリプタンを用いても,日常生活に支障がある場合は,CGRP関連予防薬を検討します.

群発頭痛について

頭痛とめまい

特徴

1)周期性:半年~数年に一度

2)連続性:群発期に入ると約1カ月の間ほぼ毎日出現

3)規則性:深夜から未明の決まった時刻に発症しやすい

4)重症の三叉神経症状:片眼を中心とした激烈な痛み

5)突然発症,短時間:急激に発症,15分~180分持続

6)自律神経症状:患側の目の充血・流涙,眼瞼腫脹・下垂,鼻閉・鼻汁

これらを伴う激しい片側性の頭痛で,他の頭痛とは全く異なる経過です.

現在ではTACs(三叉神経・自律神経性頭痛)の一つに分類されています.



飲酒により悪化します.

ニトログリセリン,抗ヒスタミン薬,過度な運動, 高温の環境等で悪化することもあります.

トリプタンと高濃度酸素が有効です.

在宅酸素は3割負担で2万円弱です.

ベラパミル(ワソラン®),ステロイド(プレドニン®)も予防効果があるとされていますが,その効果は限定的です.

最近,呉茱萸湯+半夏瀉心湯が有効な方がいました.

5)CGRP関連予防薬

     片頭痛の発症機序:「三叉神経血管説」

片頭痛発症時に三叉神経よりCGRPが放出→CGRPを受け取った硬膜で炎症+血管拡張→痛み・嘔気・眠気が出現

     CGRPcalcitonin gene-related peptide:カルシトニン遺伝子関連ペプチド)は片頭痛発症に関与

・トリプタン:三叉神経からCGRPが放出されることをブロック

・エムガルティ、アジョビはCGRPをブロック.アイモビーグはCDRP受容体をブロック

     1回または4週間に1回の注射薬で,3割負担で1本約13000円(エムガルティは初回2本

     使用条件(厚労省ガイドライン)

   ・片頭痛発作が月に複数回以上発現,又は慢性片頭痛と診断.

   ・片頭痛が過去3か月以上,平均月4日以上

   ・従来の片頭痛予防薬の効果不十分,または副作用により継続困難.

   ・睡眠,食生活の指導,適正体重の維持,ストレスマネジメント等の非薬物療法と片頭痛発作の急性期治療を適切に行っても,日常生活に支障がある.

  ⑤ 当院では3種類とも用いています.トリプタンが明らかに有効な方には全例有効でした.

    CGRP関連予防薬により片頭痛が8割改善し,休職する必要がなくなったと仮定して,月13000円の価値があるかを本人に検討してもらっています